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カチッ、サー [読書]

ものすごくステレオタイプな見方かもしれませんが、一般に心理学というものは、人の心を読んだり、行動の一般原則を説明したり、あるいは性格をタイプ別に分類したり・・・というイメージが強いと思います(それこそが、心理学に対する『ステレオタイプ』なのですが)。

確かに、心理学にそうした要素が全くないというわけではありませんが、それは心理学という非常に広範な学問のごく一部か、あるいは非常にマイナーな分野の話といえます。

ちなみに、今日の心理学の主流をなすのは「認知心理学」と呼ばれる分野です。
認知心理学とは、簡単にいえばコンピューターの発達を心理学に応用したもので、人間の精神活動を情報処理と見立てて、言語や認知、認識や記憶などを研究するものです。

よって、認知心理学の研究手法は、おなじみの精神分析からはずいぶんと離れ、コンピューターシミュレーションや行動分析、そして脳神経科学からのアプローチとなります。

ゆえに、心理学が持つ一般的なイメージを持ってこの世界に入った人にとって、「学問」あるいは「実践」としての心理学は、想像の彼方のものなのかもしれません。


ちょっと前置きが長くなりました。

ステレオタイプな・・・と言えば失礼な感もありますが、一般的な心理学のイメージをカテゴリーで考えた場合、「社会心理学」がそれに相当するように思います。

なぜ、私たちは必要のない買い物をしてしまうのか?
流行が生まれる理由は?
テレビのコメンテーターがもてはやされる理由は?

そして、別れるべきだと分かっていても、なぜ問題だらけの恋愛にしがみついてしまうのか?

そこで、この本

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この本は、人が陥りやすいワナや騙し、誘導のテクニックを通して、人が社会生活において、どのように考え、そしてどのように行動しているのかを解き明かしています。

この本が興味深いのは、「承諾」や「一貫性の法則」のように社会心理学のトピックスを多くのエピソードを交えて解説しているという点だけでなく、これらのトピックスを通して人を行動に駆り立てる法則的なものを知ることができるという点です。

人にはもちろん個人差がありますが、基本的な脳の構造が同じで、同じ文化圏で生活している以上、行動は必然的に似通ってきます。
ここから人の行動の「普遍性」が生まれるのですが、この誰もが持つ共通の要素は、一方で人が騙される原因になるのと同時に、もう一方では、心理療法の実効性を高める要素となったり、あるいは経済活動の原因を考える視点ともなります。
つまり、人間一般に共通する行動パターンというものが、認知行動療法や行動経済学の基盤の一つになっているのです。

特に心理療法を用いるカウンセラーにとって、この本は必携ともいえると思います。



影響力の武器[第二版]

影響力の武器[第二版]

  • 作者: ロバート・B・チャルディーニ
  • 出版社/メーカー: 誠信書房
  • 発売日: 2007/09/14
  • メディア: 単行本



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方向転換 [読書]

今日は大学関係の用事を済ませて、そのあと買い物に行って、そしていま帰ってきました。

仕事の開始が比較的遅い時間なので、昼間に時間がとりやすいのは便利なのですが、仕事が後につかえていると思いながら用事をするのは、なんだかせわしないですね。


そして話は本題に。

快楽も度を越せば罪悪になるならば、私の読書も明らかに罪悪。
いったい、一カ月に何冊の本を買うつもりなのか?

という事で、今日の戦利品(あぁ、結局後悔していない。という事で、このブログも妻には見せられません。永遠に)


以前もお話ししたように、ここ最近ビジネス関連の書籍ばかり購入していました。
それが悪いことだと思わないのですが、少し偏りすぎだなと思っています。
以前であれば、ここまでの偏りはなかったんですけどね。

という事で、少しだけ方向転換。
これからの読書の方向は「科学」「歴史」「思想」「経営」という方向に絞っていこうかと。

そこで、まずはこれ。

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進化論そのものは以前から非常に興味のあった分野でした。
しかし、あまりまとまった勉強をした事がなかったので、これを機に勉強をしていこうと。

「ヒトの心は・・・」は、進化心理学に関するものですね。
進化心理学は大学の勉強を通じて知ったのですが、すこぶる面白い!
私たちの心理的な動きを進化という観点から見ていこうというものなのですが、単に進化から見るという事にとどまらず、それが脳にどのような影響を与えたのかという点も興味深いものを感じます。


そして、次はこれ。

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アメリカのリベラリズムに関心を持ったきっかけは、アイン・ランドがきっかけでした。
アイン・ランドそのものはリバタリアニズムの持ち主になるのですが、これと「似て非なる」リベラリズムとはそもそも何ぞや、という疑問が出発点でした。

もちろん、その疑問点には自分なりの解答を持っているのですが、再度その勉強がしたいなぁという事と、アメリカの政治思想における社会自由主義の意味づけを理解したくて購入。

・・・実は、意外とアメリカの政治思想には関心があるのです。
ヨーロッパのそれとはまったく異なる様相を持っているので。

んで、次。

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これは頭の体操用に購入。
「フェルミ推定」とは、例えば「日本には何台のピアノがあるか?」「日本の美容室の総数は?」という問題について、最小限のデータから仮説と推定を重ねて答えを導くというもの。
物理学者のエンリコ・フェルミが多用した方法で、アメリカのコンサル会社やコンピュータ会社の入社試験に採用されて、一気に広まりました。
「フェルミ推定」は以前から流行おり、何冊か書籍も出ているのですが、こうしたトレーニング形式のものは意外となかったんですよね。

さらに次はこれ。

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私がシャーロック・ホームズを読み始めたのは18歳の時。
きっかけはNHKで放送されていたBBSが作ったホームズの連続ドラマでした。
そのドラマを見てホームズのかっこよさに心打たれた若き私は、さっそくホームズを全巻揃えて読破したわけです。

まぁ、「シャーロキアン」というほど詳しいわけではないのですが、しかし一時期、本当に熱中して読んでいました。

そんなわけで、この面白さを妻に伝えようと思って本棚を見てみると、なんと「緋色の研究」と「バスカヴィル家の犬」しかないんですよね。
恐らくは、引っ越しの際に誤って処分してしまった様子。

ちょっと、この2冊は初心者向けではないなぁ、と思いつつ、妻には「緋色の研究」を渡して、今回こうして改めて購入する事に。

ホームズものを読む楽しみの一つに、ホームズという特異な人物の持つパーソナリティを楽しむというものがあると思います。
「緋色の研究」を読んだ妻の感想は、「面白かった。でも、ホームズは最低。絶対に友達にしたくない!」というもの。

うむ、その感想は極めて正しい(笑)。


さて、そろそろ息抜きは終了。
今から仕事に戻ります。
タグ:読書

妻へのお勧め [読書]

最近、私の方はなかなか読書の為の時間が取れていません。
通常であれば、大体週に4~5冊は読むのですが・・・

そんな状態なので、ちょっと欲求不満気味。
ただ、今後の読書の方向として科学と歴史に絞って読み進めたいなと考えています。

いままではちょっとビジネス関連に偏りすぎていたので・・・

さてさて、今日の本題は最近妻に薦めた本の話

昨日の事。
二人で「ナショナル・ジオグラフィック」の「タブー」という番組を見ていました。
その中で、日本の刺青について触れられたものがありました。

実は、妻とお揃いのタトゥーを入れようと二人で割りと真剣に話をしている事もあり、興味深く見ていたのですが、その中で元やくざの「鈴木啓之」という人物が出ていました。

「鈴木…どこかで見たことが…」と思いながら見ていたのですが、番組の最後で今の彼の職業が牧師である事が紹介されました。

「あぁ、ミッション・バラバの!!!」

「ミッション・バラバ」とは、元ヤクザの方々で構成されたキリスト教の伝道集団です。
だいぶ前に彼らを題材にして、映画も作られました。

クリスチャンで元神学生のくせに他のキリスト教会については疎いのですが、確か彼らの伝道集団の母体は韓国のペンテコステ系の教会ではなかったかと記憶しています
確か韓国で最も大きなキリスト教団体もペンテコステ系だった記憶が(違っていたら、ごめんなさい)。

私自身、過去にペンテコステ系の教会に強い関心をもった時期がありました。
ペンテコステ系の教会とは、聖霊の働きに重きを置く教義を持っており、病気の治癒や神秘体験を伴うと言う、通常のキリスト教会では少々想像しにくい(ある種のシャーマニズムを連想させる)特徴を持っています。

私のペンテコステ系への関心は、神学生時代にウェスレー神学に手を出した事と、私自身もある神秘体験を経験したことが原因(?)なのですが、今日のキリスト教が軽視しがちな聖霊体験を正面から考えると言う点で、非常に共感を覚えていました。

…話が長くなりました。

久しくミッション・バラバについて関心を持っていなかったので、非常に懐かしい思いにかられたのですが、妻も関心を持った様子で「確か映画化されていたよね?見てみたいなぁ~」と。

「あぁ、本を持ってるよ」
「ほんとに?」

という事で、取り出したのがこの本

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内容は、元々ヤクザであった著者がキリスト教に改心し、伝道活動を始めるまでを記したものですが、宗教的体験と言う意味でも、また普通の読み物としても、非常に興味深いものです。

…本当はもう一冊妻に勧めた別の本があるのですが、何だか長くなってしまったので、今日はこの辺で。

ではでは
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心のインテリジェンス [読書]

昨日の更新で書いたように、仕事面では悪戦苦闘の日々ですが、読書だけは本当に順調。

まぁ、これを「防衛機制」と言えばそれまでですが、しかしインプットが増えるのは良い事です。

読む本は本当にばらばらです。大学での課題から心理学に社会学、労働法や会計学まで。
なかなか時間が自由に取れない状態なのと、緊張を強いられる日々が続いているので、帰宅した後でも気持ちが簡単に切り替わりません。

その分だけ、行き帰りの電車やバスの中での時間を有効に活用しなくては…!

と言う事で、最近読んだ本。

いわゆる「EQ」に関する本であり、感情が私たちの生活や人生に及ぼす影響や、そのコントロールをどうするかについて話が展開されています。

注目するべき事は、TAやカウンセリングの諸概念が随所にちりばめられており、カウンセリングを行う上で理解するべき諸概念が俯瞰できる事にあります。

ただ、感情の意味や影響、そして事例については比較的厚めに議論されていますが、具体的な対応に関しては、内容が薄いかなと言う印象を与えます。

しかし、コミュニケーションと感情の関係を理解するという点では良書ですね。文章も多少煩雑ですが分かりやすく書かれています。
カウンセリングに関する諸概念を普段のコミュニケーションに置き換えて考えるには、参考になるのではないでしょうか。


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