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傾聴と積極技法 [カウンセリング]

このブログは、私の日々の生活を何も考えずに書き連ねるという類のものですが、ちょっとは役立つ内容にしたいよね…と考えることもちらほら

そこでNLPやらTA講座を作っちゃおうと考えているのですが、なかなか時間がないねぇ~。

とか言っていると何も先へ進まないので、新しい企画。

私の仕事は限りなくカウンセリングに近くなることがあります。
そして、そうした仕事をかれこれ8年も続けています。

8年も効した仕事をしていて、かつカウンセリング心理学を勉強していると、様々な発見(と、それ以上の数え切れない失敗)があります。

そこで、そうしたカウンセリングの現場での発見や知識をお話ししていきたいと思います。

ただ、私は正式(?)なカウンセラーではありませんので(実際、肩書きは違うしね)、一般のカウンセラーとは全く違う事をしている場面も多々あります。
恐らく、カウンセラーとしてきちんと教育を受けた方からすれば、ツッコミどころ満載でしょう。

確かに、批判や反論は多々あると思います。
しかし、そうした批判や反論も含めて、これをご覧になっている方と「カウンセリングとは何ぞや?」を考えられたらなと思います。

という事で、第一回目は来談者中心療法と積極技法について



来談者中心療法の傾聴をトレーニングとして行っている場合、だいたい時間は10~15分程度の傾聴をやって、3分間の振り返りを行います。

その振り返りの際にクライエントの主訴と今後の見立てを行なうのですが、その際に「ラポールが築けたら積極技法を用いて…」という話をよく聞きます(実際、私もそう言う事も)。

ただ、実際のカウンセリングの現場では、傾聴技法と積極技法の間に、そう大きな壁があるわけではなく、むしろ傾聴と積極技法を行き来する事も多くあります。

ここで、一例として逐語録をご紹介します。
内容はクライエントのプライバシーに配慮して一部変更がしてあります。



クライエントは40代のシングルマザー。
離婚後、仕事をこなしながら子育てに励む生活をしている。
最近、ある男性と恋愛関係になったが、子供たちが彼に父親を求めることが多くなった。しかし、相手の男性は父親としての自覚が十分ではなく、その結果クライエントは彼との関係を終わりにした。
この記録はカウンセリング開始後10分程度のもの


CL:…子供たちの前でも、結構無神経な発言をするんです。「ママとは結婚しないよ」とか。それを言ったら、子供も傷つくじゃないですか。彼に父親を期待しているのに。なのに、彼は家族全員で彼の実家に遊びに行こうと言うんです。結婚する気もないのに!で、つい彼に厳しく言っちゃったんです。「自覚がないんだったら、もう来ないで」って。

CO:なるほど。彼はお子さんたちに対して無神経な発言をするのに、その一方で実家に誘ったりしたんですね。そして、お子さんたちは、それで傷ついてしまう。ゆえに「もう来ないで」と仰ったんですね(要約)。
「もう来ないで」と言った時の、ご自身のお気持ちは(ドアオープナー)

CL:う~ん、子供を守るためだから、しょうがないかなと。…ただ、もうダメですよね。彼との関係は、これで切れてしまいますよね?

CO:ご自身のお考えとしてはどうですか?(ドアオープナー)

CL:切れてしまうと思いますよ。

CO:切れてしまうと思われるんですね。確かに、そうした発言をしてしまうと、一般的には関係は損なわれるリスクが高まりますよね。

CL:あの時、私の中で「このままでよくない」という思いがあったんです。子供たちが彼のようになるのは避けたいし、子供が傷つくのは見たくないし。彼だって、「父親」になることから解放された訳ですから、きっとホッとしているはずです。
私は、ずっとみんなが納得できる方法はないかと考えていたんです。だんだんと彼と私との関係が接近してきて、子供たちは彼に父親を求め始める。中途半端な関係で子供が傷つくのであれば、切ってしまった方がいいと思いました。

(このあと、CLは5分ほど彼を切った理由について話し続けた)

CO:ご自身の彼との関係を終わりにした理由はよくわかりました。ご自身にとって、お子さんを守ることを優先するならば、彼との関係を切った方がいいと判断された訳なんですよね。

CL:えぇ。

CO:お話をお伺いしていると、彼との関係を終わりにしたことについて、ご自身なりに十分納得されているように思えます(この辺から積極技法。これは『自己開示』)。

CL:えぇ。しょうがないことですから。納得していますし、正しかったと思います。

CO:なるほど、納得もしているし、正しいとも思っている。
……お話をお伺いしていて、ふと感じたことがあります(以下、フィードバック)。
ご自身は、なぜ私に対して、終わったはずの出来事をこのようにお話しになるのでしょうか?
納得しているはずのご自身の行動のその動機を、私にお話しする事が疑問に感じます。

CL:………!
終わっていないんですね!

CO:えぇ、そのように聞こえます。
いま、振り返ってみて何か思う事や感じることはありますか?

CL:…私は、彼に望みをつないでいます。もう一度、関係をやり直したいと思っています。


結局、このカウンセリングはこのあと、80分近く行われました。

「自己開示」と「フィードバック」は積極技法の一つで、前者はクライエントにカウンセラーの感じ方や考えを伝えるもので、後者はカウンセラーや第三者がクライエントをどう見ているかという資料を提供するものです。

来談者中心療法の場合、カウンセラーはクライエントの心の鏡になる事によってクライエントの自己洞察の手助けをするものなのですが、それに対して積極技法は、直接クライエントに影響を与える事を目的としています。

私自身の場合、クライエントとのラポールも確かに重要ですが、実際に積極技法を使う場合、あまりラポールは考えません。
それよりもクライエントの状態の方により気を使います。分かりやすい言い方をすると、ある種の「タイミング」と言えばいいでしょうか。

先の例では、相手の男性と別れた事を「納得している」と言いつつ、クライエントはその理由を延々と私に話し続けました。そしてさらに、こうして関係が終わったことについて、彼も「ホッとしていると思う」という憶測を述べています。
この辺は、まるで自分に離別を選んだ事の正しさを言い聞かせえているように思えたのです。

そこで、別れた動機やそのときの感情を、とにかく話してもらいました。
そして、その時の感情や考えを、クライエント自身がよく吟味できるように促したのです。
その間、私は積極技法を使うタイミングをずっと見計らっています。

そして、クライエントの思いがピークに達したと判断された時、フィードバックを投げかけたのです。

結果はビンゴ。
クライエントは自分がまだ彼に望みを繋いでいることの気づきに突き当たりました。

この後、「先生、本当にありがとう!それを聞いてすっきりしました!」と何度も言われたのですが、それほどにクライエント(のみならず、問題の渦中にいる私たちにとって)自分の思考のループは根強いものがあります。

そうしたクライエントに対して、タイミングさえ誤らなければ積極技法は一気にクライエントのパラダイムを変えるきっかけを与えます。

裏を返せば、判断を誤るとクライエントの自然な気づきという、私たちが最も重視しなくてはならない成果を失ってしまう可能性もあるのです。

相手の状態を冷静に判断する。
そうした意味でも、積極技法を使う前提として、来談者中心療法は非常に重要だと思います。


(おぉ、初めて意味のあるブログを書いた気がする!!!)
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